- 2008-10-20 (月) 16:49
- 日記

昨日までの3日間、アクセスサッポロで開催された「いきいき福祉2008」は2万数千人の人を集めて終了しました。当社も開発中のスマートスーツとスマートスーツライトを出展しました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
スマートスーツは、ゴムなどの弾性体を身体の表面に筋肉に平行に張り、このゴムの張力を姿勢や動作によって適切に制御することで筋力の補助を行う、パワースーツの一種です。北海道大学の田中孝之准教授が開発した「セミアクティブ・アシスト・システム」を利用しています。また、姿勢や動作から適切な補助力をコントロールする「モーション・ベースド・アシスト・テクノロジー」によってセンサの数を大幅に減らすことができました。
つまり・・・わかりやすく説明すると、パワースーツでありながら、やわらかい素材で、身体に電極などのセンサをつけることなく、軽量かつコンパクトな制御装置だけで、人の動作を妨げることなく、安全で、しかも安いものを開発したのです。
よく目にするパワースーツは、米俵をひょいと持ち上げられるほど高出力で、高剛性なガンダムみたいなロボットスーツです。出力が大きい分、消費電力も大きく、外部から電力なり空気圧などを送らなければなりません。
これに対して、スマートスーツは米俵をひょいと持ち上げることはできませんが、長時間の中腰作業などに効果を発揮します。つまり、筋肉の疲労を軽減することができるのです。ちょうど、腰に負担のかかる中腰の姿勢をしたときに、後ろから誰かに肩を抱かれているような感覚です。
基本的に補助力はゴムなどの弾性体が発揮するので、電力消費が少なく乾電池で動作します。見た目に花はありませんが、これでも最新のロボットテクノロジーを駆使した装置なのです。関連する特許も2件出願しています。
そもそもこれを開発した目的は、メロンなどの高級作物の栽培には、人手がかかり、しかも足元の悪い中で中腰の作業が多く、皆さん腰痛に悩んでいるというところから発想したものです。少しでも腰の負担を減らすことができないだろうか・・・ということで、当時から飲み友達だった北海道大学の田中先生とともに開発を始めたというわけです。
その後、介護や福祉、救急、土木作業、運輸・・・など多方面からの開発要請がきまして、現在は「スマートスーツ研究会」を組織して、スマートスーツの事業化を探っています。リンク先で資料請求もできますので、興味のある方は是非どうぞ。
本来のスマートスーツは、補助力となるゴムの張力をモータで制御するものなのですが、張力を頻繁に変えないような作業ならばモータは必要ないのではないか?と、開発したのが、スマートスーツ”ライト”です。
ある日、有機栽培でお米をつくっている農家からのこんな相談がありました。
「6月の田んぼの除草が大変なんです。人をあつめて10日ぐらいの間に畝間の雑草を手作業で抜かなければなりません。作業員を確保するのもたいへんだし、作業員の腰を痛めないように配慮するのもたいへん気を使います。もし、雑草の繁茂に除草作業が追いつかなければ、除草剤を散布しなければならず、”有機”の認証は失われてしまうのです。」
有機栽培でどのぐらい販売価格に差がつくのかわかりませんが、いずれにしても有機でお米をつくるというのは、自然の摂理である雑草繁茂を人海戦術でとめるわけで、「自然の生態VS人間」となります。余談ですが、一枚の田んぼにイネだけ育てるというのは、生物学的に単一でたいへん不安定な状態であり、極めて人為的な状態です。当然、病気や害虫の被害にあいやすくなります。自然の力は、安定的な方向、つまり生物多様性に向うであるように働くわけで、当然ながら雑草は侵入します。雑草とは、イネから見ると雑草ではありますが、雑草もその生態系の構成員となるべく、当然の権利として入り込んでくるわけです。雑草の立場で考えば、雑草なんて言われる筋合いはありません。
話が大幅にそれました・・・・なんの話だったっけ?
そうそう、田んぼの除草作業は、ぬかるむ田んぼに長靴をはいて入り、手先で雑草を摘み取って泥に埋める作業を繰り返します。足元が悪いので、自然と手は身体から遠くに離れていきます。身体の重心から遠いところで作業するということは、自分の上体が負荷になるわけで、たいへん腰に悪い中腰の姿勢になります。しかも、この中腰の作業をずっと長時間続けるわけです。
そう考えれば、別にモータユニットでゴムの張力を制御する必要もなく、手動でゴムの張力を制御すればよいのではありませんか、そのほうがもっと安くできます。こうしてつくったものがスマートスーツ”LITE”です。最新のロボット工学の理論を生かして、つくりました。
弾性体は膝の裏から肩まであり、手元のベルトをぐいっと引くことでゴムの張力を調整することができます。
今回の展示会では、実際にこのLITEを試していただいたのですが、皆さんから好評をいただきました。
特に、障がいのあるお子様をお連れのお父様がLITEを試着いただき、お子さんを抱きかかえたときに、「これは楽だあ!」と言ってくださったのが印象的でした。開発チームも励みになります。
また、わざわざ、スマートスーツをご覧いただくために来てくれた方も多数いらっしゃいました。多くの方の期待に支えられていることを実感しました。
スマートスーツの次回の展示会の出展は、11月13~14日のビジネスEXPO(場所はアクセスサッポロ)です。北海道開発局さんの小間で”除雪”をテーマとした出展となります。お時間のある方は是非お立ち寄りください。
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